WB4101水性バインダー

アメリカの化学メーカーPolymer Innovations Inc.(PII)社が開発したWB4101は、水をベースとして配合組成されたアクリル系の液体水性バインダーです。セラミックおよびその他の粉末のグリーンシート作成に使用されます。製造工程におけるスラリー処理、テープ特性、多層部品へのテープ処理で、溶剤ベースのバインダーのように機能するように設計されています。バインダーには、シートを作成するのに十分な可塑剤と樹脂が含まれていますが、その他の特定の用途などの特性をカスタマイズするための添加剤のラインナップが用意されています。

WB4101 は多くの点で溶剤ベースのバインダーシステムと同じように機能しますが、溶剤のような機械の設置場所の限定、廃液の処理等々、様々な問題の煩わしさや面倒はありません。それでいてWB4101は、従来の溶剤ベースのバインダーシステムと同じように機能します。

他の水ベースのバインダーシステムでは、溶剤ベースのバインダーシステムのグリーンシート密度(充填密度)を達成できません。これらの他のシステムでは、高密度のグリーンシートを実現するために強力な分散剤も使用する必要があり、さらに泡の問題が頻繁に発生します。WB4101は共重合誘電親和性基により、それ自体が天然の分散剤です。WB4101 は溶剤ベースのバインダーのグリーンシート密度に匹敵し、さらにそれを上回ります。これにより、他のシステムと比較して分散性に優れた、より効果的にシート作成が可能です。

  • グリーンシートの密度と粉末含有量が高くなり、より薄い誘電体層とより優れた電気特性を実現できるようになります。
  • スラリーの分散性と粘度がより安定し、均一なシート作成が可能です。
  • スラリーの粘度と鋳造特性は溶剤ベースのシステムと同様です。
  • テープ強度とラミネート特性は溶剤ベースのシステムと同様です。
  • 濡れている場合は水で、乾いている場合は特定の洗浄剤で清掃除去できます。
  • 毒性が低く、環境への危険性が非常に安全です。
  • 有害な溶剤とそれに伴う廃棄設備が必要なくなります。
水性バインダー
WB4101バインダー当社で最も人気のあるバインダーであり、通常は DF002 消泡剤と一緒に使用されます。さらにその他の様々な添加剤により、WB4101 は様々な粉末タイプや必要なテープ特性に適応できます。
WB40B-67バインダーWB4101 で使用されているのと同じポリマーをベースに、可塑剤を一切加えずに配合された新しいバインダーです。ラミネート性に優れた、より硬いテープを生産するために設計されました。テープ厚の増加やより堅牢なテープ特性を必要とするあらゆる用途に最適です。
WB40B-53バインダー上記のバインダーと同じポリマー タイプを使用しますが、WB4101に入っている可塑剤やWB40B-67に入っている追加の材料は一切使用していません。非常に硬いテープや非常に厚い (100ミクロン以上) テープを作成する場合に便利です。
添加剤
消泡剤DF001非常に強力な変性シリコン共重合体で、特に薄いテープよりも厚いテープの鋳造に効果的です。改良されたシリコンポリマーで、特にDF002と組み合わせて使うと効果的です。但しパウダーによっては成形不良を引き起こす原因になることもあるので、過剰投入には十分な注意が必要。
消泡剤DF002当社で最も人気があり最も効果的な消泡剤で、水性バインダー システムと非常に相性が良く、さまざまな粉末に非常に有用です。これは残留物が非常に少なく、きれいに燃え尽きる、シリコンを使用しないマイルドな消泡剤であり過剰投入しても問題にならない。
可塑剤PL001バインダーWB4101 には、同じ可塑剤があらかじめ配合されています。PL001はテープの柔らかさ、柔軟性、およびラミネート特性を高めるのに非常に役立ちます。
可塑剤PL002PL001 に似た可塑剤ですが、バインダーとの反応性はより高くなります。テープのラミネート特性を高めるのに非常に効果的です。PL002 を使用すると、より柔らかいセラミックテープが得られるため、粘着性を高め、テープ切断がしやすくするのに役立ちます。
可塑剤PL005非常にpHが高く反応性の高い可塑剤で、他の方法では扱いにくい粉末の調整に役立ちます。反応性の高い粉末や pH が低い粉末がバインダーの沈殿やテープへの悪影響などの問題を引き起こしている場合は、配合に PL005を含めることが非常に有効です。
可塑剤PL008これも比較的 pH 値が高い可塑剤で、他の可塑剤よりも若干許容範囲が広いです。特定の粉末の粘度安定性と分散性を高めるために使用できます。PL008 はコストが低く、反応性がわずかに低いため、PL005 の優れた代替品となります。
分散剤DS001
分散剤DS005
DS001またはDS005は、水または溶剤混合物で使用するために設計された強力な汎用分散剤です。WBシリーズの水性バインダーシステムとの互換性が高く、他の多くの従来の分散剤でよくあるようにグリーンシートの強度を大幅に低下させることはありません。
分散剤DS009これも強力な分散剤ですが、他の分散剤とは特性が異なります。DS005がうまく機能しない場合は、常にDS009 をお勧めします。この分散剤は、ジルコニア セラミックにも非常に役立ちます。
厚膜添加剤TK004
厚膜添加剤TK005
TK004とTK005 は、1:1の比率で一緒に使用するように設計されています。乾燥中にグリーンシートの厚い部分を安定させ、ひび割れや沈殿のない欠陥のない厚いシート(150 ミクロン以上)を実現します。正しい手法と順序でスラリーに追加することで、1mmを超える厚さのシートの均一性を大幅に向上できます。

主な使用目的

WB4101およびWBシリーズは、主にセラミック粉末やその他粉末でグリーンシート作成を目的としたバインダーで、可能な限り汎用的で使いやすいように設計されています。スラリー作成工程において、溶剤系バインダーと同じく積層部品で良好な反応し、積層チップやコンデンサなどの製造で導入されています。

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の電解質にはジルコニアが使用されており、電解質の為には、薄くて高品質なジルコニアグリーンシートの作成が重要です。このジルコニアグリーンシート作成に、水溶性バインダーWB4101が最適です。アメリカで燃料電池のジルコニア電解質に採用され量産されています。国内メーカーも現在研究開発でWB4101バインダーシステムを電解質作成でご検討いただいております。


デモキットのご提案

PII社ではWB4101を使用してのグリーンシート作成における能力と性能について非常に多くの経験を積んでいます。様々なパウダーや条件での試作を行っており、それぞれの環境に合ったアプローチが必要なことは十分承知しております。水性バインダーについての多くの誤解、また各社工場設備の工程の違いによって、グリーンシート作成が上手くいかない場合があります。さらに全ての材料(セラミック)がバインダーとの同じ調合方法で効果を現すものではありません。そこでグリーンシート調合についての当社の知識をお客様と共有し、当社のバインダーシステムの基本を知って頂き、実際のお客様の仕様にお役立て頂くために、このデモキットを用意致しました。

本デモキットはグリーンシート成型においてバインダーWB4101が最も効果を発揮し、高度なグリーンシートを作成することができるように用意されております。デモキットにてまずお客様にWB4101の性能を知って頂く必要があります。なぜならいざお客様独自の材料での製作に移行した際に、もしWB4101の効果が良くない場合、何がいけないのかデモキットと比べることによってより発見しやすくなりますし、Polymer Innovations, Inc.社としてもお客様の問題に対応しやすくなり、結果的に迅速な解決となります。

品名種類
WB41012L水性バインダー
DF002100g消泡剤
PL002
PL005
100g可塑剤
DS001
DS005
100g分散剤
A16SG400gアルミナ粉末
KE2-60.3mPII社で作成した見本のシート
SiPET6m塗工用のフィルムシート
メモリースティック1個説明書など各種資料

配合開発試作

お客様がWB4101バインダーシステムをテストした際に、上手くいかない場合が多くあります。それはテスト環境の違いであったり、粉末材料の違いであったり様々な要因があります。PII社ではお客様から供給される様々な粉末で作成開発してきた豊富な経験を生かして、ご要望のシート作成ができるようにPII社で試作を行い、その作成方法や配合レシピ、試作完成シートサンプルなどを提供する有料サービスを行っています。

  • お客様から提供された粉末を使用し、ご要望のシート特性を求め、ラボベースでシート開発を行います。
  • すべての調合データをExcelファイルで保管し、試作終了後、基本的な試作報告書と共にをお客様に提供します。
  • 様々なボールミルサイズと粉砕メディアでの計算を行った最終推奨調合結果を提供します。
  • 最終候補のシートサンプルを、ご希望に応じて提供します。
  • 粉末の性質が未知のため、ベストエフォートに基づいて行う。
  • お客様は試作用に約2kgのご希望の粉末を用意する。
  • 試作用粉末の海外輸送機関も含め2~3カ月で工程完了。